「…あの日、君のほっぺ…腫れてたよね」 クスリと笑うシロ。 その笑顔は、本当に――― 本当に、あの日の私を知っている様で。 「…本当なの?」 「信じてくれた?」 「…あのとき、私とあのネコ以外…路地裏には誰もいなかったもの… そんなに詳しく知ってるなんて…おかしいわ」 おかしいのは、私かもしれない。 優也の言った通り、シロは私の作り出した幻で――― ううん。 それこそ信じられない。 こんなに純粋な笑顔で笑うこの人がここにいないなんて…ありえない。