MEMORY-君と過ごした夏-






「シロ!電話、切らないで!!

すぐ行くから!!」


ヒールが片方脱げた。

気にしないで走り続ける。


『ナオ…ナオ……』


電話越しの蚊の鳴くような声が、事態の異常さを示していた。


「シロ、どうしたの?!ねぇ、シロ!!」


もう片方のヒールも投げ捨てる。

足の裏が焼けるように痛かった。


でも、そんなことどうでもいい。



シロ

シロ


シロ………!!!