俺が近寄るたびに貢が叶斗を何処かへ連れて行き、連れていかれる本人は俺に救いを求める様な視線を一瞬だけ残して顔を逸らす
『俺の事が嫌なのか』
と言う疑問も浮かんだが、その疑問はあっさりと消えた
授業中、ウトウトと眠りにつきかけて居た俺の机に一枚の丸まった紙が投げられた
投げた人物は隣の席の叶斗
机の下でそっと紙を開く
【僕が鷹と話をしないのは嫌いだからじゃないよ】
叶斗らしい、端正で綺麗な文字で綴られたその一文には様々な思いが込められているのであろう事が読み取れた
「先生、教科書忘れたから叶斗に見せて貰っても良い？」
どうしても叶斗と話す機会が欲しくて、嘘をついた
「仕方ねーな〜。見せてもらえ」
「へーい」と軽く返事を返しながら机を引っ付ける
これで話せる状況は整った
