「…っ、叶斗!!」

まんまと騙された貢が僕を抱きしめる

好きな訳無いじゃないか


僕は元の貢が好きなんだから
純粋に絵を描く事を楽しんでいた頃の、貢が


「やっぱり気持ちを伝えて正解だったな…。こんなに嬉しい言葉を好きな人の口から直接聞けたんだから」

ちゅっと耳にキスを落とす


あぁ、良かった

何とか機嫌は戻ったみたいだ


「あぁ、でもダメだな」

「え?」

急に低くなった声に驚いてそっと上を向く

そこにはどこか遠くを見つめて、光を失った目をしている貢が居てーーー…


その目が僕をスッと捉える

背筋が凍りつく

抱きしめられているからじゃない
雰囲気に圧倒されて、動けない

「俺以外に相談するなんてダメだよ。叶斗の全部が俺じゃ無いとダメ。俺以外の事なんて全部ダメだよ」


口の端しを少しあげて、妖艶な笑みを浮かべながら僕を見つめる


そんな貢に僕は情けない顔で笑うしか出来なかった