夕方、学校からの帰りに、ひとりの少年に会った。


目と口がなかった。


その少年は、わたしの手に何かをにぎらせた。


手のひらを見ると、ふたつの目玉と口が、わたしの手に植えつけられていた。


「ぼくの、あげる」


と、その口が言った。


少年は、走り去った。