「ねえ、手をにぎって」


夜中、恋人から、そんな電話があった。


おれは青ざめた。


恋人は、飛行機の墜落事故で死んだはずだった。


「ねえ、手をにぎってよお」


ふと窓を見ると、黒焦げのちぎれた手首が、窓ガラスをギイギイとひっかいていた。