『なあ作倉。お前、好きなやつとかおるん?』 好きなやつ……? 森口からそんな話をしてくるなんて珍しい。 「おらへんよ。1回もできたことないねん」 そう言うと電話越しに森口は、乾いた声で笑って『そうなんや』と言った。 「森口はおるん?」 『さぁ……』 「は?さぁって何?」 『何やろ。分からへんな』 意味が分からない言葉を発している森口は何故か嬉しそうで、頭が混乱しそうだった。 もしかして森口、疲れてる?