「ただいま」
「菜緒おかえり。見てこれ」
リビングに顔を出すと、母さんが1枚のチラシを私に見せる。
『Rainy Flower』と書かれた生け花体験教室の宣伝チラシ。
「これがどうしたん?」
「何か面白そうやない?母さん、行ってみようかなって思てるの」
さすが私の母さん。
好奇心の強さは子どものよう。
「ええんちゃう。母さんこういうん好きやし」
私が笑顔で言うと、母さんは嬉しそうにふふと笑う。
「夏休みも行くかも知れんけど」
「留守番なら大丈夫」
ニッと口角をあげて笑う。
「ありがと。お風呂入り」
「はーい」
私は母さんに鞄を預け、足早にお風呂場へ向かった。


