家に着いたら姉がいた。

「はぁ疲れたわ」

「姉ちゃん?」

「こんな遅くまでどこいたの?母さん怒っ てるわよ?」

「げ」

姉ちゃんは無表情で教えてくれた。

母さん怒ったら怖いからな。

なるべく会いたくない。

「早く事情を話なさいよ」

「え?」

「なんかあったんでしょ?ユウがこんな遅 くまで帰らないなんてあまりないもん」

なんか今日は優しい。

「母さんもわかってくれるわ」

「あ、ありがとう」

ニッと笑って姉ちゃんは自分の部屋に行っ た。

はぁ。

母さんになんて言おう。

図書館で本を探してて遅くなった?

でもでも。

普通の図書館はこんな時間まで開いてるわ けない。

あの図書館は普通の図書館じゃないんだ。

なんて考えていた。

とりあえず、ジュンの家にいたっていうこ とで。

よし!!

母さんに話しましょう。

「キャー。ユウくんお帰りなさい♪」

「なんでアズサが?」

呆然としていた。

アズサと母さんが仲良く座っていた。

なぜ?

「ユウ。お帰り」

母さんがニコニコしながらこっちを見た。

笑ってるっていうことは機嫌がいいんだよ な?

母さんの笑顔にはどちらの意味があるん だ?

「ユウくん。浮気はダメよ?」

「はぁ?」

「こんな遅くまでだれといたのよ」

「はぁ?」

アズサの芝居についていけないよ。

母さんもなんか言えばいいのに。

「ジュンの家にいたんだよ」

飽きれぎみで答えた。

「そうなの?アズサちゃんというものがあ りながら他の子といたのかと思ったわ」

え?

アズサと僕は付き合ってるの?

いやいや。

付き合ってません。

むしろ、嫌いです。

「母さん。アズサと僕は付き合ってない」

「え?でも…」

「将来の旦那様です♪」

母さんは洗脳されていたのかもしれない。

はぁ。

怖い。

「アズサ。……お前のこと一生好きになれな いから」

「小さい頃は結婚しようって言ったの にぃ」

「今は嫌いだから無理」

ここまで言わないとアズサはひかないだろ うな。

「私、諦めないもん!!」

アズサはこの部屋から出て行った。

やった行ってくれた。

そう思いため息をついた。

「あんな風に言わなくてもいいんじゃな い?」

「あぁ言うしないんだよ」

「ショウコ呼んできてくれる?話さないと いけないことがあるからって」

「わかった」

なんのことかな?

思いつつ姉ちゃんを呼びに行った。

「姉ちゃん?母さんが呼んでるよ」

ドアを叩きながら言葉をはっした。

「……」

ゆっくり姉ちゃんが出てきた。

寝ていたみたいだ。

「何ぃ?」

「母さんが呼んでるから」

「あ~。わかった」

姉ちゃんはそういうと母さんのところへ歩 きだした。

なんとなく気になった。

「何?」

僕はまた好奇心に心を奪われていた。

「明日、病院に行くんだけどショウコも行 くでしょ?」

病院?

どこか悪いのか?

「ユウもそろそろ会わせないといけないの かな?」

「あの子にはいつか教えるわ」

僕に隠し事?

「ユウには会わせない」

「母さん?」

「こんな気持ちをユウにさせることない わ」

「だね…」

「××……」

母さんはあの子の名前を口にした。