「ユウぅ~!!」
朝からうざったい。
てかもう梅雨に入ったからじめじめして気 持ち悪い。
それにジュンとか最悪じゃん。
「ありがとな」
「別に」
「これ見てくれよ」
ジュンはそう言って携帯を見せてきた。
見せてきたのは受信ボックスの画面。
そこには“マイ”という名前がビッシリう まっていた。
途中、僕の名前もあった。
「な。ウザいだろ?毎日、なんかあったら これだぜ?」
「大変だな…」
「家、帰りたくねぇ。てかさ。お前、一昨 日早退してどこいったんだよ?」
「はぁ?」
「アズサちゃんが泣きながら帰って来た ぞ。“ユウくんに彼女が出来たって”」
「彼女…」
「お前、いるなら言えや」
「あいつはそんなやつじゃないし」
「じゃあどういう関係?」
「……知らね」
あの人と僕の関係は難しい。
必要な言葉が足りない。
表す言葉がない。
「ユウくぅん 」
後ろ抱きついてきたし。
最悪だわ。
「ジュン助けろや」
目の前のジュンに助けを求める。
でもジュンはニコニコしながら眺めてい た。
気持ち悪い笑顔で。
「アズサちゃんはもうユウのこと諦めた の?」
「諦める?そんな言葉、私の辞書にはない よ」
ニコッと営業スマイル。
「じゃあまだ好きなんだ」
「そうとも限らないぃ。ジュンくんは甘い ね♪」
「なんなんだよ」
「それは……」
「僕の頭の上で話すな!!」
ベタベタさわってほしくない。
もう僕に近づかないでほしい。
って言えたらいいんだけどな。
アズサは全然ビックリしてなかった。
逆にジュンはビックリしてたけど。
「保健室行く!!」
僕はアズサを振り払い、保健室に向かっ た。
母さん、ごめん。
今日も早退するかも。
「…いらっしゃい。ユウ」
ここはバーのような感じする。
それは白石が妖しい空気を放っているか ら。
「私はまだ不必要じゃないのね。嬉しい わ」
「そんなの関係ない」
「何か調べたいの?」
「別に」
「私に会いに来てくれたの?」
「別に」
「……」
こいつは僕がなぜここに来たのか知りたい みたいだ。
ただ逃げに来ただけ。
ここが単に居心地いいだけ。
「寝る…」
僕はそういうとベッドに入った。 「本当の心は…?」
眠りについたユウの頬を撫でながら呟い た。