「あね。あの事ね」
やっと思い出したか。
「あの子はこの学校にはいないわ」
「ちゃんと調べたのか?」
「えぇ。ちゃんとね」
ニッコリ笑う。
「ユウは全てわかってるくせに。なんで調 べるの?」
「……」
黙る。
「まぁ別にいいわ」
ユキはそう言うと自分の持ち場に戻った。
「担任には熱があったから帰ったと言っと け」
「わかったわ」
ユキは僕の方を見なかった。
そしてドアに手をかけた時、ユキが話し出 した。
「私を殺さないでね♪」
「なんで…」
「だって不必要になったでしょ?」
「そんなこと…」
「ふふ。バイバイ、ユウ」
僕はお別れのあいさつはしなかった。
言葉では言わなかった。
校舎から出てから僕は今日の予定を考え始 めた。
「家に帰って寝る」
それからどうにかして例の本を読む。
「あと…」
まぁいいや。