「何を考えてる」

最初にそう言われた。

何って…。

「知りませんよ」

「知ってる。あいつはどこにいる」

「あいつ?」

米原はジッと僕を睨んだ。

「お前ではないのか」

「何の話ですか?」

「お前に話す気はない。さっさと帰りたま え」

そっちが呼んだくせに。

僕も米原を睨んだ。

そして出ていった。

「どこにいる…」

米原が何かを言った。

でも僕には小さすぎて聞こえることはな かった。

「何の話ぃ?」

ピョコ。

アズサが話しかける。

なんで普通に話せるんだろう。

なんか昨日のことについて触れたらいけな いような。

「わけわからない話」

もうどーでもいい!!

普通に接する。

「ユウくん、教室に戻ろ?」

僕は何も答えず、教室へと歩いた。

教室に二人で入った。

クラスメイトは僕を睨むとふんでいた。

なのに。

クラスメイトは僕のことを見ない。

「なぜ?」

「ユウくん?どうしたの?」

アズサが僕を心配する。

……………

あぁ。

そういうことか。

ありがとう。

「大丈夫…」

僕はアズサにそう言い、自分の机につい た。

「おはよう。みんな宿題やって来た?」

国語担当の伊川。

ゆるい感じの先生だ。

「あら。ユウくん、久しぶりね。宿題があ るの知ってた?」

「知りませんでした」

知ってたけどね。

「そう。他の人はもちろんやったよね?後 ろの人、持ってきてください」

ニッコリ笑う。

なんでこの人はいつも笑顔なんだろう。

そのあと授業があり、やっぱり先生はずっ と笑顔だった。

「では授業を終わります」

礼をして終わった。

そして休憩があり、違う授業があるのだ。

疲れた。

「ふふ…」

「うるさい」

「だってぇ。久しぶりにユウに会えたんだ もん」

ムカつく。

「お前、先生のくせに。うざすぎ」

「ユウ、ひどいね。で。どうしたのぉ?」

「お前、アズサみたいだな」

僕の方へと歩いてくる。

「私の前で他の女の名前出さないで」

そして僕の唇に人差し指を置く。

僕は無表情で見る。

「私のことだけを見て?」

上目使いでみてほくそ笑む。

「いやだ」

言いながら手をはらった。

「ハイハイ。ここはみんなの保健室。病人 の人には用はないわ。バイバイ♪」

「なんだよ。自分通りにならないからっ て」

「そうよ。言う通りにならない子には用は ないわ」

めんどくさい。

「何したらいいの?」

「名前で呼んで」

「名前なんだっけ?」

「白石ユキよ」

名前とかで呼びたくないな。

でも言わないと言うこと聞きそうにない な。

「ユキ」

「うん。もう一回♪」

「なんで」

「知りたいんでしょ?」

「……ユキ」

「ふふ。ユウって純情なのね。可愛い」

ユキが僕をなでてくる。

「うざい。早く教えろ」

「んー。どうしよかっなぁ」

ほくそ笑む。

本当、めんどくさい。




「ごめん。ごめん。教えるわよ。で。何が 知りたいんだっけ?」