「今日は来るのが早いな」

無表情で僕を迎えてくれる。

なんか嬉しい。

「…話せ」

いつも席にショウは座る。

それを習って僕もショウの前の席にすわ る。

「僕の幼なじみがめんどくさいんです」

「めんどくさい…」

呟いた。

何を考えているんだろう。

「そいつは僕のことが好きなんです。今日 は告白をしてきて…」

下を向いた。

なんか恥ずかしい。

「それで早く帰ってきたんです。…なんで すか?」

視線を感じて、上を向いた。

ショウが僕を見る。

「バカだなって思った」

「……」

「本よんだかしら?」

「読んでない」

「私なんて二時間で読めるのに。なぜ?」

「ショウが異常だから」

「異常…か……」

ん?

僕、傷つけたかも?

ショウがゆっくり下を向く。

しょげてる。

「ごめん。でもそれがショウのいいところ だよ」

「……」

まだ下を向いてる。

うぅ。

どうしよう。

「友情の裏切り…」

「え?」

「全ての本…」

「何?どうしたの?」

「…ちがう。そうじゃないとダメ」

「ショウ…?」

おかしい。

そう感じた。

やっぱりショウの気持ちも行動、全てを理 解できない。

何を考えている?

「そうだ。気分転換に外、いかない?」

僕が提案した。

いつも光がささない。

不潔なこの場所にいたら自分自身も不潔に なる。

「私は囚われの身。ここから出たらいけな いの」

やっと顔を上げた。

でも囚われの身?

「私は生まれた瞬間からここで育てられ た」

無表情で辛いことをいってる。

なんで泣かないの?

泣きたいくせに。

「辛くないの?」

「辛い?…私に感情などない」

「……」

「これは実験」

「……」

「お前が主人公かを確かめるための」

「……」

「今日は終わりです」

「……」

「さよなら」

ショウはまたいつものように消えた。

無表情で無神経なことを言う。

真実の情報かわからない。

聞くことしかできなかった。

僕に何ができるだろう。

…………。

さっきのことは忘れよう。

そしていつも通り、ショウに外をおしえれ ばいいんだ。

そうだ。

それでいいんだ。

そして僕もいつも通り、紫のドアを開け た。