声をかけられた警察官により私は保護され、すぐさま父に連絡がいき、迎えが来た頃にはとっくに日付は変わっていた。

もちろん父には、こっぴどく怒られた。
こんな時間まで、どこにいた!とか、女の子がふらふらして!とか、ひとしきり怒られたけれど。

「ごめんなさい、ただいま」

と言えば、それ以上父も何も言わなかった。

「お前のせいで、臨時休業だ。明日からしっかり手伝ってもらうからな!」

不謹慎なのはわかってはいても、休んで私を捜してくれたことが何より嬉しかった。

「お前、ちゃんとジローと友達に謝れよ。ジローはまだ捜してくれてるし、友達も長いこと捜してくれてたんだ」

おっと、連絡しとかないとな。と、父が携帯電話を取り出し、誰かに連絡していた。

総二郎、捜してくれてたんだ。
友達って、まさか峰さん…?

嬉しさと不安が入り混じり、私が複雑な気持ちでいることを見透かすように父は言った。

「連れは連れでも、“男”の連れだったぞ?」

父の顔はニヤニヤしていて、なんだか私は恥ずかしくなった。

「もぅ!帰るよ!」

私は父の車に乗り込んだ。


さっきの電話は店で留守番してくれている、総二郎のお母さんに電話したのだと教えてくれた。

こんな時間まで、おばさんたちも捜してくれてたんだ。

「日付け変わって見つからないようなら捜索願出そうってときに、電話かかってきてな。事故にでもあってないか、ずっとヒヤヒヤしっぱなしだったが、まぁ安心したよ」

「そっか、ごめんね」

心配と緊張で疲れが滲む父の顔を見ながら、私は今日の出来事を思った。
きっと、父も私に罪悪感を感じてるはず―…。
それがなければ、私が飛び出すこともなかったのだから。

無言で車は走り続け、私はこれから正式に“私の家”となった、よしのの暖簾をくぐった。