「まったく、僕は変わってないな。」
昔から。
不意に木村さんの顔が浮かんだ。
素直でまっすぐな彼女の言葉は弱虫な自分にとても響く。
とても愛しいと思う。
「星、顔がにやけておりますぞ。」
その言葉に、俺は敏感に反応した。
「兄貴か・・・。」
「何、その反応?」
ひどいなぁーといいながらヘラヘラ笑う兄貴を見て「木村さんはどうしたのだろう。」と心の中で思う。
「未来ちゃん、気になる?」
――――ビクッ
「図星かぁ。未来ちゃんといい、星といい分かりやすいね。」
「で、何?」
「うーんと親からの伝言ってことだったんだけど、」
「断る。」
「だよねぇー。」
あんなにカワイイ彼女がいたら、と兄貴は言った。
「まぁ、そんだけ。帰るわぁ。」
「サヨウナラ。」
さっさと帰れ糞兄貴。
「あのさ、お兄様に向かって寂しいとかないの?」
「アリマセン。お帰りください。」
帰るのを渋る自分の兄に向かって満面の笑みを浮かべてやった。

