島田くんは覚えていないと思う。
だって、そういう人だから…。
――――3月の初旬
「寒いね、なっち。」
「あぁ。でさ、」
「なに?」
「くっつくのやめてくんない?」
「だって・・・寒いんだもん。」
わたしは親友のなっちと高校試験会場に来ていた。
まだ、3月初旬。
寒い空気が流れる。
うぅ・・・ひどいよ、なっち。
周りの人も寒いのか厚着をしている。
さむいですよねぇ。
寒い風が吹く。
「寒い。」
「そうだね。めっちゃ寒い。」
「なっち・・・それ、薄着だから。」
「あっ!!イケメン。」
軽く流したな、なっち。
わたしはため息をつきながら、なっちの指さす方を見た。