「ほら、絋佳(ヒロカ)ってば置いてっちゃうからね!!」


昼休みが終ることを知らせるチャイムが鳴る廊下で、碕山 絋佳(サキヤマ ヒロカ)は飲んでいたジュースのストローが潰れるほど噛み締め、歩くことを忘れていた。


「………」


「ほら、真面目な絋佳らしくないなぁ~。次は遅れるとうるさい漢文の秋吉だよ」


絋佳は急かされる声に反応が出来ないほど、一点を見つめていた。


視線のその先には見てはいけない光景があったのだ。