牛も馬も豚も食えるんだ。


人間も食えるんじゃないのか…?


ふとそんなことが父親の脳裏に浮かんだ。


通常なら、そんな馬鹿げたことを考えるはずもないが、今目の前にいるのは若くて柔らかい人間の子供だ。


どうせ、この子は俺がいなきゃ生きていけないんだ。


妻も死んでしまった。


俺が死んだら、どの道この子も餓死するに違いない。


だとしたら、この子の命を俺が食ってしまった方が、この子の為にも俺の為にもなるんじゃないのか?


考えれば考えるほど、我が子を食べるということが正当化されていく。