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「えっと…今日、帰れないんだよね?」

短縮授業が終わりなんとなく浮き足立っている皆をよそに、私は結城に話しかけた。

「…嗚呼、ちょっと用があってな。すまない。」

「用」って、愛ちゃん?
そう問いただしたい気持ちをおさえながら、「そっか、大丈夫だよ!」と明るく振る舞う。

結城は安心した様な表情になれば、教室を後にした。

愛ちゃんも、それを追う。


そんな情景を見ない様に目を逸らせば、ゆっくりと瞼を下ろし視界を暗くする。


…大丈夫、大丈夫だ。


先ほど口にした言葉を、自分に投げ掛けながら。