「!七瀬、」

思わずそこから去ろうとした時、運悪く結城に見つかった。

「…結城」

私の方に歩む彼をゆっくりと見つめる。

愛ちゃんは何かを察した様に目を逸らせば一歩後ろに下がりそのままどこかに行ってしまった。

「お前は行くのか?」

「行く…かな」

「…なあ、誕生日、17日だろう?」

すっかり忘れられていると思っていたのに、そんな結城の言葉を聞けば不可抗力に等しい力で頬が緩む。

「うん!」

「…旅行とほとんど被るな。部屋から抜け出せる準備、しておけ。」

一気に明るい表情になった私に軽く微笑みながらそう告げる。

「…!うん!」

思いっきり頷く私。

旅行…、楽しみになってきた、かも!