結城、どこにいるんだろう?
きょろきょろと辺りを見渡せば、見覚えのある背中が視界に入る。
結城だ!
「ゆ…舜くっ…ん、」
皆の手前、いつもの呼び方になるのを慌てて隠して結城の名前を呼んだ、そのとき。
「舜くん!ねえ旅行行く?」
「…行くつもりだが。」
「やった!私もね、行くんだ!」
結城の視線の先にある愛ちゃんも、一緒に視界に入ったんだ。
…なにこの展開、少女漫画でよくあるやつじゃない。
そんな下らないことを考える。
…けど少女漫画で読んでるときみたいなどきどきはなくて。
ただただ、ぎゅっと胸が締め付けられる感覚に襲われた。