「…行くか」


そうこうしている内に部活の時間が迫っていて、ため息をつきながら教室を出て廊下を歩く。

階段裏の人気の無い場所に通りかかったとき、いきなり背後から人の暖かい感触がした。

「…ここにいたのか、」

頭上から結城の荒い息使いと声が聞こえて、抱き締められてるんだ、と脳が遅く理解した。

…何で、結城がここに?

一瞬の思考の内に体を離され、結城と向かい合う形でまた抱き締められる。

「探し、たんだぞ」

どきどきと煩い私の鼓動を感じているのか、落ち着いてきた結城の鼓動も速くなる。