「星那 愛です、よろしくお願いします!」


そこに立っていたのは普通の女の子。

どちらかというと可愛いめの顔立ちだけど、ずば抜けて整っているわけじゃない。

周りからは女の子の少し安心したようなため息や男の子のぼそぼそと彼女についての話し声が聞こえる。

「いやー、漫画みたいに絶世の美女がくるとかはさすがにありえないかー」

「いいじゃん、このクラスには憂ちゃんいるんだからさー」


…でもいつもなら反応しているはずの台詞も私の耳を通りすぎて行く。


そんな台詞より、私は結城に意識がいってしまって。


だって、彼はいつも冷静で。

私の前ですら表情も言動も中々崩さないのに。

彼女を見た瞬間、彼は切なそうな、苦しそうな顔になって。

「…愛」

実際声に出したかはわからないけど、

彼の口は、確かに彼女の名前を呼んでいた。