「馬鹿、じゃないの」

途切れ途切れの息のまま七瀬が反論する。

「嗚呼、お前に関してはな」

「っ、」

「愛が何を言ったかは知らないが、俺はお前だけだ」

何度も言っているだろう、と付け足せば自然に自分の口元が緩むのを感じた。

「うん…」

肩を小さく震わせながら俺の肩口に顔をうずめる七瀬。

ごめんね、私も好き、と小さく呟くのが聞こえた。

「いや、何にしろ今日はとことん甘やかすつもりだったからな」

バイトや下見の説明をしつつも俺がそう言えば、七瀬が恐る恐る、といった様子で顔をあげた。