「愛ちゃん、どしたの?」

時間を気にしながら、一緒に部屋の外に出た愛ちゃんに尋ねる。

「憂ちゃんって、舜くんと仲良いよね」

「そう…かな?」

「うん」

二人の間に少しだけ沈黙が姿を現す。

愛ちゃんが何かを決した様に私を見た。

「…私ね、舜くんの初カノなの。」

「っ…」

解りきっていたことでも、動揺を隠せない。

「今もね、好きなの。」

「…そう…なんだ、」

真っ直ぐ私を見つめる愛ちゃんを直視できない。

「…だからと言ってどうという事もないけど、ほんとに、好きなんだ。」

切なげに目を細め呟く愛ちゃん。

「いきなりごめんね、部屋戻ろっか?」

「…あ、私ちょっと売店行ってくるね!」

約束の時間が、という事もあったけど、何と無く部屋に愛ちゃんと行き難くて愛ちゃんの誘いを断った。

「そっか、大丈夫?」

「うん、ありがとう」

愛ちゃんが手を振り部屋に入るのを見届ければ、隣の部屋に向かう。

呼吸が規則正しくなるように何度か息を吐いた。

…なんだかんだ、こっちにも入り難い、な。