「おお、すごい!」

着いたのは、少し雰囲気が自然な旅館。

なかなか居心地良さそうかも…。

「んじゃ、夕方まで自由行動しよっかー!」

愛ちゃんの一声で、皆がそれぞれ別れ歩き出す。

「憂ー、行こ!」

「うん!」

友達のところに駆け出そうとしたとき、背後から声が掛かった。

「七瀬」

「あ、舜くん!なに?」

なるべく普通を装いながら小さく首を傾げる。

「…今夜、10時だ。お前達の部屋の隣の部屋に来い。」

淡々とそう言えば、私の返事も聞かず結城も男子達のところに歩き出す。

少しだけ気持ちが明るくなるも、どこかやっぱり不安な気持ちのまま、私も友達の所に駆けた。