「あんた、少しはやる気出しなさいよ、病は気からって言うじゃない。気分が変わればきっと、病気だって良くなるわ、頑張りなさいよホントに!」

リンダの叫びを聞いても南の表情は変わりませんでした。その時点でリンダはしみじみ思いました。そんなに酷い状態のかと。しかし…


「――病気?何の事だ…」


南は何言ってるんだと言う表情で、冷たい視線を送ります。同時に今度はリンダの方が驚きます。言葉を一瞬失った後、南を弱々しく指差して、絞り出す様な声でこう言いました。

「あんた、どっか悪いから此処に療養に来たんじゃ無いの?」

そう言いながら狼狽するリンダを見る南の視線は更に冷たい物に成り、リンダにはそれが突き刺さる様に感じられました。


「俺は何処も悪くない。普通に健康体だ」


「でも、細菌に弱い体質だって…」


南は確かにそう言いました。リンダはそれを聞いて、彼が病気だから細菌に弱い…と言う意味なのではと考えたのです。しかし彼はきっぱりと否定しました。そして酷く冷たい口調でリンダに向かってこう言いました。

「それは『気分的に弱い』と言う意味だ。何処か悪い訳じゃ無い。単なる俺の好みだ」