「あ、あの、えへ、うん、何でも無い、うん、忘れて…そう、ごめんね」


両手を自分の胸の前でひらひらと振りながらリンダは必至で話題を変えようとしたのですが、話題が全く思いつきません。

「さぁて、お仕事お仕事~♪」

リンダは努めて明るく振舞います。

もし、これが南の最後の思い出だったりしたら、そう考えると胸がぎゅっと締め付けられるのを感じて自然と涙が溢れてきます。

神様、お許しください、リンダは悪い子でした。彼女は本気でそう思いました。

メイおばさんは、人生何事も経験だと言っていた事をリンダは思い出しました。ならば、南にもこの牧場の仕事を体験して貰おう。最後の思い出に成るかも知れないけど、それはそれで良いではないか。

リンダは、ちょっと涙で潤んだ瞳を腕でぐいっと拭い去ると、再び笑顔に成って南に向かってフォーク片手に歩いて行きます。

「ねぇ、やってみない?結構楽しいよ」

そう言ってフォークを南に差し出します。しかし南は全く興味を示しません。