パソコンのモニターをじっと見詰めながらリンダは高校の授業を受けています。今は数学の時間でが微分がどうとか積分がこうとか教師が熱弁を振るっておりますが、彼女にはさっぱり意味が分りません。

大体、高等数学など牧場で暮らすには全く必要無いのではと思うのですが、もうすぐ期末試験、今やって居るのは問題の出題範囲ですから気を抜く訳には行きません。頑張ってついて行こうと言う気持ちは有るのですが、残念ながらリンダはギブアップでお手上げ状態。赤点決定みたいな感じでした。

彼女が数学の講義を理解する事を諦めかけた時、がちゃっと音がして突然部屋のドアが開かれました。リンダはそれに気が付ドアの方向に目をやります。其処に居たのは南、今、一番の天敵です。

「な、何急に部屋のドア開いてんのよ」

リンダは彼の顔を見て、思わず毒突きますが、彼は全く気にしません。極めて沈着冷静です。それがリンダのカンに触り、意味も無く怒りがこみ上げて来るのを感じました。

「何を言っている。散々ノックしただろ。気が付かない方が悪い」

南はそう言うとリンダの横に予備の椅子を置き彼女の隣に座り込みました。リンダは酷く狼狽します。

「ちょっ、何、何よ!」

焦るリンダを尻目に南はパソコンの画面を覗きこみ、鼻で笑うとこう言いました。

「なんだ、今頃、こんな事やってんのか…」