それを聞いたミルおじさん笑いながら答えます。

「リンダ、偉い事とお金を持っていると言う事は関係が無い事なんだよ。良いかい、偉いと言うのはね、自分の仕事を一生懸命出来る人の事を言うんだよ」

「――一生…懸命?」

「そうだ。たとえば、さっき言ったわしの親友。奴は心の底から人を助けたいと思ったから医者に成った。そして、一生懸命人を助けて居る。だからそれが偉いのさ」

ちょっと不思議そうな表情リンダはでミルおじさんの瞳をじっと見詰めま続けます。

「最近、その友人から手紙が来てね。自分の息子を暫くわし達の牧場で預かって見てはくれないかと相談されたのじゃよ」

「で、その息子って言うのが、あのひょろ…じゃぁ無くて南なのね」

「そうじゃ。奴は南君を立派な医者にしたいのだそうだ」

牧場の仕事とお医者さんの仕事、何処が関係有るのだろうかとリンダは不思議に思いました。

何故なら自分達が相手にしているのは動物でミルおじさんの親友が相手にしているのは人間だからです。

何の関係も無いのではとリンダは思いましたがミルおじさんは更に言葉を続けます。

「人間と言うのは泥臭い処で生きて居る物だと言うのが奴の持論でな。今の社会、何をするにも綺麗な処しか見えない事が多いだろう。食料の生産だって、ほぼ100%工場で生産され自然の物が殆ど無い。故に食べ物の元が命だと言う事を認識しておらん、違うかな?」