ミルおじさんはリンダの訴えを一通りい聞いてから、彼女の瞳をじっと見詰めながら、諭すようにこう言いました。


「良いかいリンダ、まず、彼の名は烏山南｜（からすやまみなみ）。私の同級生の息子だよ」

リンダはぐすぐすとしゃくり上げながらミルおじさんの膝から頭を上げます。

「――同級生？」
「そうだ、高校時代の親友だ。奴はとても優秀で大学に進んで医学を志した。そして、今は地球の日本と言う地区で大きな病院の院長をやっておる。わしの仲間の中では一番の出世頭だ」

リンダは今迄ミルおじさんの事を根掘り葉掘り聞いた事が無かったから、そんな友達が居たなんて全く知りませんでした。

「ミルおじさん、地球で暮らしてた事が有るの？」

ミルおじさんはにっこり笑って頷きます

地球はリンダの憧れの地、其処で暮らした人がこんなにも間近に居た事に大いに驚き、その瞳には尊敬の念が込められました。

「へぇ、ミルおじさん凄いんだ。地球に居た事が有るなんて…」

「学生時代の話だ。もう何十年も前の話だよ」

「それでも凄いわ。だって、地球って偉い人しか住めないんでしょう、政治家とかお医者さんとか大きな会社の社長さんとか…」

リンダの言葉にミルおじさんはちょっと首を傾げます。

「いいかね、偉いとはどう言う事か分るかな？」

リンダは唇に右手の人差し指を当てて小首を傾げます。

「偉い…そうね、お金をたくさん持ってる…とか…」

それを聞いたミルおじさん笑いながら答えます。