「むぅ…そんなに驚くことないじゃん」

いやいやいやいや!!
驚くって!後ろ振り向いたら、目の前に甘党王子がいたら…!

「ご、ごめんなさい…」

「んー、まぁいいや。それよりもさ、なに作ってたんだ?」

「え?」

ゆ、許してくれたの…かな?
これは正直に言った方がいいよね…よし、

「あ、アップルパイだよ」

「アップルパイ!?」

「う、うん」

ヤバイヤバイ。王子の前でうぉう!?って叫ぶとこしたよぉ…はぁぁ…

「俺、甘いもの大好きなんだ!だから、それ頂戴!」

はいはい、甘党ですもんねぇぇぇぇぇ…
って、はあああああ!?
このアップルパイを、王子に!?
…女の子に見つかったら大変だよ…!

「え、えっと…」

きょろきょろと、目線だけを王子から反らして周りを見渡す
…よし、誰もいないよね。ならいいかな。丁度、多く作ってたし

「うん。いいよ。あげる」

「やりぃ!ありがと、美羽!」

んん?
なんで私の名前知ってるの?

「な、なんで私の名前…」

「…いいだろ、なんでも!あ、俺は麗亜結城。よろしく!」

「え、あ、ああ…よろしく…」

手を強引に握られ、ブンブンと振り回される
いた、痛いから!!そろそろ離してつか離せ!

「あ、ごめん」

「…はぁ、はぁ……」

な、なんて奴だ。麗亜結城…!
可愛いなとは思ってたけど、こんなんだったとは…!!

「俺さ」

「はい?」

なんだよ、また碌でもないこというの?
とか、イライラしてたら…


「美羽のこと、気に入っちゃった」


にへら、と笑った結城。
…え、

「えええええええええええ!!?」

もう私、明日学校休もうかな…