「ま、まさやくん!!」

「なんだ」

まさやくんは私を引っ張って歩き続ける。

なんでこんなことになったの?

私が近づきたいのは君の兄の方なのに!!

「そろそろ離して!!」

手を振り払った。

怖くて顔が見れないや。

「…お前、あの約束覚えてるか?」

「約束?」

まさやくんは静かだった。

「覚えてねぇんだな」

悲しそうな目で私を見ないで。

なんか苦しいよ……。

「何?私、わかんないよ」

「いいよ、別に」

そしたら顔が近づいた。

私は固まるばかりで何もできなかった。

「…ん……何してるのよ!!」

まさやくんを突き飛ばした。

いやだ。

どうしよう。

私、どうしようら。

ファーストキスを奪われちゃった。

私の大事な。

「……ひどい……」

涙が止まんないよ。

最悪。

こんなやつに……

「……」

何よ。

言い訳の1つもできないの?

「死ね、バカ!!!!」

私は捨て台詞を言って逃げた。

私は唇をなでた。

ここにまさやくんの…

やめ、やめ。

なんか変態みたいじゃないか!!

私は結婚するまでキスはしないって決めて たのに。

最悪だな。

まだ、まさとくんならよかったかも。

………バカ、私(照)

何、想像してんの!?

「…桜子?」

「ニコちゃん?」

ニコちゃんとは私のお姉ちゃんで。

なんでここにいるの?

「フフ。教育自習だよ」

「へぇ。知らなかったな。何年?」

「1年」

「あ。美人いるでしょ」

「エレナちゃん?あの子キレイよね」

「ニコちゃんもじゅうぶんきれいだよ」

久しぶりに会った。

嬉しいな。

だからかな、口がすごく早く動くの。

「ありがと。あの子、どんな問題を抱えて るんだろ。眼帯、すごく気になるわよね」

「そうそう、絶対外さない」

数分間、話続けた。

そしたら。

「鈴浦先生!!」

「ごめん、呼ばれてるから」

「あ。頑張って」

「知り合いだったんですか?」

「えぇ、離ればなれになった妹です」

しんみりとした顔でニコは答えた。

その顔を見た先生はすぐ違う話題へとチェ ンジさせた。

「ニコちゃん」

行っちゃった。

嬉しい気持ちと動揺の気持ちが渦巻く。

どうしたら止められるの?