その人は椅子を回転させ、こっちを向いた 私を捨てた父だった 少し前より老けていたが体付きはがっしりしていた 「来たか 久し振りだな紀衣」 「何年振りかしら?」 「…覚えていません」 「しっかりしたな」 「そうねぇ こんなに美人になっちゃって」 「…今更、私に会いに来て 何か用ですか?」 「お前、彼氏は居るのか?」