[HARAGUTI]








そう書いてあった



−原口




私の苗字だった





まだこの人達は原口らしい




とっくに変わってしまったと思っていた




私は母の後ろに付いていった



中には社員と思われる人が母を見て頭を下げた




母はエレベーターに乗り、最上階で降りた



一枚の大きな扉があるだけだった



母をそれを開けた




中は凄く広かった




物はソファと机




それから奥に一人、大きいデスクに背も向けて座っていた










「あなた」




母はその人に声を掛けた