「…読めなかったんだろう?僕の名字が」
「あ………」
一言で相手に露呈した。間抜けにもほどがある。…私はいつからバカになったの!
「…まあ、大体の奴は読めないから」
「ご、ごめんなさい」
私の謝り癖が、無意識のうちに発動した。すると蒼太君は、私は一瞥し言った。
「…蒼太でいいよ。名字、あんま好きじゃないから」
「は、はい…」
その時の私は、顔が真っ赤になっており、本に半分顔を埋めた状態だった。
そのあと、私は読書をすることはなく、文庫本の棚を見つめていた。時折、棚の前まで向かうも、今日は読みたい本が浮かばない。
というか、そもそも男子と二人きりというシチュエーションが初めてで、何をどうしていいかわからない。
私は他の人が恐くて、あまり皆と関わらず生きてきた。そのため人と話すことが苦手になってしまった。
でも…本当は……誰かと関わりたかったのかな…
今の蒼太君との会話。中身は無い会話だけど、それでも私は嬉しかったから。


