「テスト返却するぞ」
「ええ~~~~っっ」
「赤点のやつは、居残りな」
「えええ~~~~~~~~っっ」
教室は、陰鬱な空気に支配された。男子が順番にテストを取りに行く。結局、男子はほとんどが居残りらしい。皆机の上で伸びていた。
「中沢~」
女子の番だから、次呼ばれるのは私。
「中渡瀬~」
私は、名前を呼ばれるのはあまり好きじゃない。国語の先生は、名字で呼んでくれるため、ありがたかった。
「…いつも通りだな」
「……」
先生に声をかけられたけど、そのまま席に戻った。
私は読書のため、勉強は足手まといにならないよう、なるべく授業中に覚える。
赤点は、勿論回避していた。


