両親は振り返る。私たちは物陰にとっさに隠れる。階段から私たちは、その声の人物と両親の会話に耳を澄ませる。六時でも校舎内は暗かった。顔は把握できない。
「赤羽根さんも到着したようです」
さっきの声の主がそういった。見ると、廊下にもう一つ人影があった。トイレ方面から来たらしい。
「…あの…これはどういうことでしょうか?」
おそらく紅葉のお母さんがそう言った。そして…なぜかうちの両親が首を傾げ始めた。
「……?…あれ?」
「どっかで聞いたことあるような…」
フタリとも何かつぶやいている。妙な空気が漂い始めた。
一方、お久しぶりですとか言った奴はどんどん両親に近づいていく。
そして…私のお母さんが、その妙な空気をふっとばした。
「もしかして…間宮?」
その発言で、お久しぶり野郎は足を止めた。
「えっ…どういうこと?」
と、父さん。
「……えっ、そんな…それは………」
と、紅葉母。
私たち二人には全く状況が理解できない。
そして…電気が付いた。


