「来るのでしょうか…」
「うちの両親は…来ると思うっ……あっ、来た」
午後六時、私の両親は校内に入ってきた。どうするつもりだろう?
「ついていこうか」
「はい…」
私は、両親が行く場所に大方予想がついていた。
「やっぱり…理科室だ」
理科室の前の廊下で、あのノートは拾った。なんで理科室前で拾ったのを両親が知ってるのかは知らないけど、なんとなくここだと思った。
両親が、止まる。そして何か言っている。ここからでははっきり聴こえない。
緊張の糸が切れそうになったとき、その声ははっきり聞こえた。
「お久しぶりです」


