家に帰り、私は珍しくリビングに向かった。幸い二人ともリビングに居たため、私は早速、名無しのノートを見せた。
「ねえ…こんなのがあったんだけど」
「ん?……かあさん、これは…」
「………誰なの?」
両親はノートを見た途端、意味の分からないことをつぶやき始めた。
「…赤羽根さんって?」
父さんがそう質問してきた。私は紅葉とはずっと一緒だったけど、両親には話したことがない。
「…唯一の親友」
「そうか…それで、これ見せたのか?」
「コピーして、紅葉に渡した」
帰り際、どうしようかと迷った結果、紅葉に事情を話した。紅葉は「…なんだか、見せておいたほうが良い気がします」と言って、コピーを取り家に持って帰った。
初めて見た。両親がこんなに狼狽するところは。それが事の重大さを示唆していた。


