テストは意外と変な癖のある問題が多く、ここの先生は意地悪だと思った。全てに何かしらひっかけがあったのも、意地悪と思った一つの要因だ。
「衣織さん…どうでしたか?」
「…解いてて、こんなにも頭に血が上ったことはないよ」
「わたしも、少しやりすぎだと思いました…」
「でも、紅葉のことだから全部解けたんでしょ?」
「ええ、大体理解できましたよ」
紅葉は昔から勉強は出来た。常に一桁代には食い込んでいた。私も紅葉には遠く及ばないけどそれなりの成績は保っている。
「…?…あれ?」
「どうしたの紅葉?」
「今日は、衣織さんが日直ですよね?」
「うん、そうだよ」
「日誌が…ありません」
…朝のノートの文面が、脳裏にちらつく。
「…探そう」
「えっ?しかし、わたしがなくしたのですから、わたしが探さないと…」
「と、友達でしょっ!…手伝わせなさいっ」
「…ありがとうございます」
大体、紅葉が物をなくすはずない。…きっと、朝のノートの持ち主が取ったに違いない。
許せない…それに…
あのノートには続きがあったのだから…


