教室へ戻ると、既に紅葉が来ていた。
「おはようございます衣織さん。今日は早いですね」
「うん…日直の仕事はどんなのかなと思ってね」
「そうですか。基本的な部分は変わってませんよ。窓開けとか、花の水やりとか、そのような内容です」
「そう…ありがとう」
そんなものか、と内心つぶやく。たいして中学時代と変わらないな。問題ない…な。
…一瞬、脳内にあのノートのことが過る。…なにか嫌な予感がするのは気のせいかな…
次第に生徒が登校してきた。教室内がだんだんと賑やかになってきた。私は自分の席で頬杖をつき、ぼーっと紅葉の背中を眺めていた。紅葉は、学級日誌の最後の感想のところにペンを走らせていた。…日直の感想ねえ。
「おはよう、席について」
先生の一言で教室が静まり返る。先生はそのあとてきぱきと今日の予定、テストの取り組み方などを説明して、ものの10分ほどで終わった。


