「咲楽、弁当食べない?」
「いいよ、食べよ食べよ!」
その後、私は佐々木さん…いや、咲楽に礼堂君の思いとプレゼントを渡した。
そのプレゼントは、手紙とペンダントだった。渡した時、咲楽は混乱してたけど、手紙を読み進めるうちに、どんどん表情が生き生きして、最終的には微笑みながら涙を流していた。
「私も……大好きだったよ」
そう呟いて、咲楽はこちらに笑顔でこう言ったんだ。
「ありがとう…本当に、ありがとうっ!」
あの笑顔は一生忘れられない。とびっきり輝いていた。
それから咲楽と仲良くなって、今では良き親友になった。正直、照れくさいこともあるけど今では私の大切なただひとりだけの親友。
「ほら、行こっ!」
「咲楽、どこ行くの!?」
「授業だよ、次、理科でしょ」
「あっ、忘れてた。今用意して行くっ!」
今でも、時々思う。あの時見た人は幽霊だったのかな、と。
私に大切なことを教えてくれた、礼堂君、及川さん、弥勒地さん。今になってもありありと思いだせるあの体験。
出会いは突然、別れは必然。人間はこれの繰り返しだと思う。出会いは偶然なのだ、初めての出会いが、たとえ幽霊だったとしても。出会いは偶然なのだから、その出会いを大切に、誠心誠意すればいい思う。
いつかは必ず別れが来る。でも、それまでを今は楽しもう。縦の物を横にしないなんてことは、もうしない。今を大切に生きようと思う。
「行くよっ」
「待って…よし、行こうか」
後悔しないような、人生にしよう。
踏み出す一歩目は、たとえ小さくてもいい。大きな勇気がいるのだから。
了


