「躑躅森さん、至急病室へっ!」
私は、それが終わりになる言葉だと悟った。
「…ご親族の方ですか?…午後6時49分、ご臨終です」
「そうですか…お世話になりました」
私は自然にこの言葉を口にしていた。涙は出ず、ただ呼吸器が外されるのを、静かに見守っていた。
「死んじゃったか…しょうがないよね」
涙より笑顔が溢れてきた。身近な人が死に過ぎた。悲しみが全く来ない。
「…もしもし、かあさん死んだよ?…うん、もう長くはなかったみたい。…うん…私は大丈夫…葬式の手配、お願いね…じゃあ」
父さんも、ただ静かに私の話を聞いた。
家族そろって、最悪だなと思った。変に思われるから、泣こうと思った。なのに…泣けない。
私は、そっちの方が悲しいことに気づき、自分を殺したくなった。


