クラスの馬鹿共が騒ぎ出す。
私は、礼堂という名字に心当たりがある。
「…すいません、礼堂というのは…礼堂日向さんですか?」
自分でも、声音が震えているのがわかった。しかし聞かずにはいられない。私は必死に念じる。
「…そうだ」
誰もが、私が先生と一対一で話すのを、口を呆け聞いている。私の声を初めて聴いたものが多いからかな。普段無言な奴が、先生に向けて、みんなの前で喋っているのは異常な光景だよね。
「私たちのクラスの礼堂さんですよね…」
「ああ、うちの礼堂だ。…亡くなった」
私は、その亡くなった点には悪いけど…ショックは感じなかった。そんな自分が私は大嫌いだ。人が亡くなることになれている。もう私は狂ってる。
しかし…私が震えている理由はそこではない。
「先生…れ、礼堂さんが亡くなったのは…いつごろですか?」
「…昨日の六時過ぎ、暗くなってすぐだ。足を踏み外したんだろう」
…私の常識が崩されるかもしれない。
私は、先生のそばに行き、言葉尻を強くし言った。
「本当ですか、それは目撃証言ですか?警察の死亡推定時刻からですか?」
「おっ、落ち着け」
「いえ、大事なことなんですっ!」
「あ、ああ。目撃証言だ」
その様子をクラスの人は、異様な目で見ていた。普段喋らない人が、先生に問い詰めている、さらに…泣きながら。
「…こ、骨葬ですか…」
「…ああ、皆で行こうと思う」
「そう、ですか……なんでなんでしょうね。どうして。そんなことがあるはずない、でもあれは幻じゃない、では?私がおかしいの?おかしい、説明できない」
理性が吹っ切れた。
「…私がおかしいの?…死ぬんだよね、私の周りは。そこまでならいいのに…………私、もう無理だよ…」
「お、おい」
私はそのまま言わず、教室をあとにした。


