「南無阿弥陀仏…」


催眠術の如く眠気を誘ってくるお経を聞き流す。


お経というものは、長いものもあれば、短いものもある。


今回の葬式では長い方に当たった。最近は、この正座にも慣れて、足がしびれることもなくなった。


私、躑躅森穂乃香。お父さんが岩手で会社を経営してて、少しは裕福な家庭に生まれた。


そのお父さんの家系は人脈が広い。この葬式もお父さんの近親者だ。


最近、よく葬式に行く。一か月に2~3回のペース。異常だとは思うけど、本当に人脈が広いから、それくらいあたりまえかと、私は割り切っている。


最近は、夢に出てくることもなくなったが、最初の頃は、夜になると、逝去した人の顔が頭の中に浮かんできて、魘されることが多かった。

今はなんともなくなった。