「イア?」
私が声をかけたとき、イアがこちらに振り向き、私を見つめた。
「シルヴィア、大丈夫だから。」
イアが眉を寄せて、囁いたその瞬間、彼の姿が私の視界から消えた。
それと同時にふわっと温かい感情に包まれていた。
それから彼がきゅっと腕の力を強めたのがわかった。
痛いほど伝わってくる、彼の思い
何度も大丈夫だからと言い私を抱きしめる手を強める。
これほどまでに、イアは私を思ってくれていた。
それなのに私は、そんな気持ちに気付かず自分だけが抱えているものだと思い込んでいた。
こんなんじゃ、ダメだ。
いつまでも、私より長い間思ってくれていたイアが重荷を背負い続けることになる。
そう考えたら、自然と彼を強く抱きしめていた。
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