そんな私を知ってか知らずか、イアは私の顔を覗き込んだ。
「シルヴィア?どうかした?」
「あ、いやっ…なんでも。早く乗ろっ」
なるべく明るくいつも通りの口調にしようと思ったが、うまくいかずにどもってしまう。
馬車なのに、外装からは考えられないほど高く広い内部に少し驚く。
この数年で技術や魔法は進化しているようだった。
赤に近いオレンジをしたソファーが私が座ると同時にキシッと小さな音を立てて沈む。
「馬車に乗るなんていつぶりだろ?なんか懐かしいな……」
イアが目を細めて優しく笑う。
閉まった扉の窓からやわらかい日差しがイアの横顔を照らす。
見とれた
いや、この神聖で気高く美しい光景に見とれない者などいたら是非とも会ってみたいものだ。
言葉がでない
美し過ぎる……
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