彼が捕まってから、私の考えは変わった。
少しでも思いを伝えておけば、あれほどまでに苦しみはしなかっただろう。
「シルヴィア?どうかした?」
イアが私の顔を除きこむ。
そのときだった
ガタガタ
普通の馬車よりは少し控えめな音をたてながら、もう一台の馬車がきた。
デザインも大きさも同じだが、唯一繋がれている馬が純白の鬣であることだけが違った。
「なんでもないっ!乗ろう♪」
私の心はもう決まっている。
私達が馬車に近づくと、御者がおりてきて扉を開ける。
イアは私の背中をそっと支え、右手を私の右手に添えて乗りやすいようにしてくれた。
些細なことだったが、胸の高まりは依然収まることをしらない。
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