悪魔の彼




イアの隣にしゃがみ、彼の顔を見る。


苦痛が本当にあるのかさえ疑問な程に、暖かく安らかなその顔はただ眠っているだけだと言われても不思議ではないほどだった。





「イアの肩に手をおいて……」



彼女の後ろで、ニアが指示をだし続ける。





素直に従い、イアの肩に優しく手をのせるシルヴィア

すると、目を閉じている本人にはわからないと思うが、手の平が光だした。






「そのまま、助けたいっておもいを手に集めるようにして……」





さらに光だす掌は、とても美しかった。





ただ助けたい



彼にもう一度……名前を呼んでほしい



そう思うことで、シルヴィアの中の新たな力が目を覚ました……






「あっつ!」




回復の力が大きくなりすぎたのか、シルヴィア自身も手に熱を感じるようになっていた。



同時に目を開けたシルヴィアの目に映るのは光る自分の手だった。


いや、もはや腕までもが光だしていた。